「保育園落ちた日本死ね!」のブログについてですが、一部の政治家の方たちの初期対応は残念と言う他ありません。「落書きである」や「誰が書いたのか分からない」との理由で相手にしなかった方たちのことです。
「二条河原の落書(らくしょ)」というものがあります。「此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀(にせ)綸旨」(綸旨…天皇の意を受けた公文書)で始まる、建武の新政における政治の混乱を書いた作者不明の落書きです(そもそも「落書き」の語源は「落書」と言われています)。
「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋ひしき」 これは、松平定信の寛政の改革を批判した落首です。落首とは主に世相を風刺した狂歌を匿名で公開する表現技法(歌の形の落書)のことです。
これらの作者不詳の落書きは、当時の様子をうかがい知ることのできる資料としていまや教科書にも掲載されています。
あのブログが落書きに相当するという認識を否定はしません。言葉づかい等、感情的に書かれており、推敲を重ねた文章ではなさそうだからです。
しかし、その落書きに多くの賛同者が出たことを、政治家の方たちには重く受け止めて欲しかったと思います。歴史上の作者不詳の落書きが現代に残っているのは、これらが人々の賛同を得て、写本されたからです。政治に関わる身であるなら、「作者不詳の落書き」ということよりも「多くの賛同者がいる」ということを、重要視すべきだったのではないでしょうか。
夏には参議院議員選挙が行われますが、有権者の一人として、一般市民の声をすくい上げてくれるような方に一票を投じたいと思います。