埼玉県の公立高校入試

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11月24日(火)に埼玉県で公立高校入試の改善点が公表になりました。

 

数学及び英語の学力検査問題にて、正答率が極端に低い問題があるなど難易度設定等に課題があるため、平成29年度入試(現中2生の高校入試)より、受験生がきちんと実力を発揮できるように内容を改善するとのこと。具体的には、応用的な問題を含む「学校選択問題」を県教委が作成し、各高校の判断でこの「学校選択問題」を実施できるようにする、というものです。

 

公立高校入試の難易度については、千葉県も同じような問題を抱えていますね。ちなみに千葉県の公立高校入試の難易度についてまとめてみると、以下のようになります。

 

平成19年度まで…5科平均が約300点

一部の上位校(進学校)では高得点者が続出して、得点差がつきにくい入試でした。そのため、内申点(中学校格差があるので公平な合否判定資料とならない)やケアレスミスの有無で合否が決まってしまうケースが見られたようです。そこで、平成15年から導入された「特色化選抜」では、高い学力を持つ受験生を見極めようと、上位校(進学校)は「学校独自(応用)問題」を作成して入試を行うようになります。が、この「学校独自(応用)問題」も指導要領から逸脱した出題や、高校の先生の負担が大きすぎる、といった問題を抱えていました。

 

平成21年度から現在…5科平均が約250点

平成23年度の「特色化選抜廃止→前期/後期選抜導入(学力検査の必修化)」に向けて、平成21年度から入試問題が難化します。県教委の公式見解ではありませんが、「学校独自(応用)問題に代わりうる入試問題を県が作成する」という意図を感じます。

 

この結果、特に数学において、難易度のバランスが非常に悪い入試が行われるようになりました。元々、数学ではこのような傾向があったので、正確には「バランスの悪さがより顕著になった」というところでしょうか。

 

昨年度の前期選抜での、数学における出題状況を見てみましょう。

正答率10%未満の難問…5問(正答率は0.4%、1.9%、2.8%、3.2%、6.0%)

正答率70%以上の易問…8問(正答率は99.6%、93.1%、87.9%、87.5%、84.4%、77.4%、75.9%、74.6%)

難しい5問分(25点)は取れないけれども、簡単な8題分(約40点)はほぼ確実に得点できる。その結果、受験生の大半が50点~60点に集まる得点分布となってしまい、得点差がつきにくくなっているのです。

 

数学が得意な受験生にしてみれば、数学でライバルたちに点差をつけることができないのですから、不公平な入試問題と言えるでしょう。ちなみに、偏差値と実際の得点とで相関を調べてみると、昨年度の結果では、5科偏差値70(上位約2%)の実力を持った生徒でさえ、数学の得点は75点だったということになります。

 

この現状は決して好ましい状況にあるとは言えません。ぜひ千葉県でも、この「学校選択問題」を導入して欲しいと思います。上位校(進学校)は応用問題も含めた出題で実力判定ができる入試。それ以外の高校では正答率が40~70%程度の問題を中心とした出題で受験生の得手不得手がきちんと点数に反映されるような入試。これが理想だと思うのです。

 

 

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